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アジアの平和 ⑦インド、パキスタンの核兵器保有の経緯 [平和外交]

 新冷戦の脅威を踏まえつつ、アジアひいては世界に平和をもたらすために、日本は何をしたらよいか。前回の、「中国の非核化」に続いて、インド、パキスタンの非核化ついて考えてみよう。

 

1.インド、パキスタン分離独立の経緯

 1947年、多くの植民地を支配した大英帝国のイギリス領インド帝国が瓦解し、インド連邦とパキスタンの二国に分かれて独立した。

インドはヒンドゥー教徒が多く、パキスタンはイスラム教徒が多い国になった(コラム参照)。

両国の取り残された少数派教徒が、強制移動などで1千万人以上が難民化し、暴動、虐殺、報復の連鎖が起きて、死者数は100万人に達したという。非暴力を説いたガンジーが暗殺される事件もあった。

大英帝国の没落を象徴するこの独立は、印パ分断と呼ばれている。後に、パキスタンのうち、飛び地の東パキスタンが、バングラデシュとして独立した。

 

2.インド、パキスタンの戦争

 最後まで帰属先を決めかねていた、カシミールの帰属をめぐって、印パ戦争が1947年、1965年、1971年の3度にわたって戦われ、いまだに解決していない。しかも、両国の対立はインドの核開発と、それに対抗するパキスタンの核開発という、国際政治上重大な結果を招いた。

 

3.インド、パキスタンの核兵器保有

 インドは、1974年と1998年に核実験を実施し、6番目の核保有国になった。パキスタンに対する示威行為であったと言われている。

 パキスタンは、インドに対抗して、1998年に核実験を実施し、7番目の核保有国となった。パキスタンの核開発には、北朝鮮、中国、そして日本企業の関与が疑われている。

 

4.インド、パキスタンの非核化戦略(後述)

 

5. まとめ(筆者コメント)

①欧米の苛烈な植民地支配に苦しむアジア各国に対し、日本は太平洋戦争を通じ、身を呈して独立を支援したと主張する人がいる。結果的に応援になったが、動機は国益の追求であったと思う。

 

②印パ分断の際、ガンジーは「イスラム教徒に寛容」で、「非暴力・不服従」を唱え、これに反対した狂信的なヒンドゥー教徒に暗殺された。インドでは、その後も、暗殺者を崇拝する動きや、不寛容が広がっているようだ。

 

③「非暴力・不服従」を唱え、断食するガンジーは立派だが、今の国際情勢では、自衛権まで放棄すべきではないと思う。自衛権は国際法でも認められた国家の権利である。

 

コラム1 南アジアの宗教信者数(億人)と構成比(%) ・・・ecodb.net 2018

南アジアの宗教

人口(億人)

ヒンドゥー教 

イスラム教

キリスト教

その他

インド

13.3

79.8

14.2

2.3

3.7

パキスタン

2.0

1.5

97.0

1.3

0.2

バングラデシュ

1.6

9.2

89.7

 

1.1

 


コラム2  世界の宗教信者数(億人)と構成比(%) ・・・Yahoo 2016

 

世界の宗教

信者数

構成比

 

世界の宗教

信者数

構成比

キリスト教

22.0

30.1

 

仏教

3.8

5.1

イスラム教

16.0

22.0

 

ユダヤ教

0.2

0.2

ヒンドゥー教

10.0

13.7

 

その他の宗教

6.0

8.5

儒教・道教

4.0

5.4

 

無宗教

11.0

15.0

 

 

 

 

人口合計

73.0

100.0


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アジアの平和 ⑧宗教対立をどう解決するか [平和外交]

 新冷戦の脅威を踏まえつつ、アジアひいては世界に平和をもたらすために、日本は何をしたらよいか。前回、インド、パキスタンの分離独立の経緯、印パ戦争、核保有の経緯を述べた。インド、パキスタンの非核化戦略を論ずる前に、いったん、インド、パキスタンから離れて、非核化、安全保障、平和に深くかかわる宗教対立の解決策について考えてみよう。

 

1.宗教戦争の主な歴史

 

①十字軍遠征(キリスト教対イスラム教の戦い)

11世紀末から200年間に、ローマ教皇の呼びかけで、キリスト教徒が聖地エルサレムの奪回を目指した、7回にわたる軍事行動。一時は聖地回復に成功したが、結局はイスラム側の反撃で失敗に終わった。

十字軍は回を重ねるごとに、経済、文化の東西交流を通じ14世紀のルネッサンスにつながった。

 

②宗教改革(キリスト教新旧両派の地域紛争)

 1517年、ドイツの修道士ルターが「九十五カ条の論題」を発表したことでローマ・カトリック教会に宗教改革運動が興った。ルターが破門されたことから、同調者がローマ教会とたもとを分かち、プロテスタント教会を作った。その後、プロテスタント(新教)とカトリック(旧教)の対立は激化し、15461609年まで、ヨーロッパで争いが絶えなかった。

 

③三十年戦争(キリスト教新旧両派の国際戦争)

 16181648年まで、ドイツを中心にヨーロッパ各国が、新旧キリスト教をめぐって戦った。この国際的な三十年戦争の結果、ウエストファリャ条約が締結され、宗教戦争は終わった。

 

④イスラム教、スンニ派とシーア派の宗教対立

 スンニ派のサウジアラビアと、シーア派のイランの対立が激しい。世界のイスラム教徒16億人のうち9割がスンニ派で、残りがシーア派。シーア派を国教とするイランは9割以上がシーア派である。

 開祖ムハンマドの後継者争いで、血筋にこだわる派がシーア派、それ以外がスンニ派となった。

宗教心や行事に大差はないのに、対立を引きずっているのはもったいない。

 

2.宗派間の和解の主な動き

 

①協会一致運動

 20世紀をとおして、「ローマ・カトリック教会」と「ルーテル世界連盟」の間で、「カトリックとプロテスタントでは、どこが同じで、どこが違うのか」をテーマに様々な対話が重ねられてきた。

1999年には歴史的な「義認の教理に関する共同宣言」が両派の間で調印された。これにより、「救い」に関する考え方の相違が克服されたと思われる。

 

②宗教改革500年、記念行事

 1517年、ルターが「九十五ヵ条の論題」を発表してから500年を記念して、2017年にカトリック教会とルーテル教会で合同の記念行事を行った。

 

③パウロ2世によるユダヤ教の聖地訪問

聖教皇ヨハネ・パウロ2世は、2000年、ユダヤ教の聖地を訪問し、「ユダヤ教は我々の兄である」と宣言し、迫害の歴史を認め反省を表明した。

 

④米国聖職者、聖地巡礼とピースラリー

 2003年、米国のキリスト教徒イスラム教の聖職者がイスラエルを訪問し、イスラエルのユダヤ教聖職者とともに、3宗教の相互理解を深める試みがなされた。中東問題解決の端緒になると思われる。

 

3.宗教和解の処方箋(筆者提案)

①愛の神を尊び、時代錯誤な古い教え(改宗者は死刑、豚肉食禁止など)はリストラしよう

 

②信教の自由を最優先とし、政教分離を徹底しよう。中国の最近の宗教介入(イスラム教の中国化)は問題。

 

③黄金律(人にしてほしいと思うことの,すべてを人々にせよ)を遵守しよう

 

④宗教対話と宗教教育は和解の近道。特に貧困で出生率に高いイスラム圏では必須。

 

⑤ローマ法王とペレス氏の会談で出された、「宗教版国際連合提案」を具現化しよう。

 

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アジアの平和 ⑨領土問題をどう解決するか [平和外交]

新冷戦の脅威を踏まえつつ、アジアひいては世界に平和をもたらすために、日本は何をしたらよいか。前回、非核化、安全保障、平和に深くかかわる宗教対立の解決策について考えてみた。今回は、平和の大敵である領土問題について考えてみよう。

 

1.アジアにおける領土問題

 世界の領土紛争地域は40か所以上、数え方によっては120か所以上もあると言われている。アジアのそれは、主なものだけで下記10か所がある。

 

案件

実効支配国

領有権主張国

領土問題

竹島

韓国

日本

李承晩が領有主張し実効支配

北方領土

ロシア

日本

北方4島の返還

尖閣諸島

日本

中国、台湾

調査で石油発見以来、問題化

西沙諸島

中国(1970年~)

ベトナム、台湾

中国が石油発掘、ベトナム反発

南沙諸島

中国(1988年~)

ベトナム、台湾*

係争中に中国が軍事拠点化

アクサイチン

中国

インド

中印パの国境紛争地

カシミール

インド

パキスタン

カシミール国境紛争地

ナゴルノ・カラバフ自治区

アルメニア

アゼルバイ

ジャン

民族紛争地。現在はアルメニアの占領下にある

ゴラン高原

イスラエル

シリア

イスラエルがシリアから奪った

パレスチナ

イスラエル

パレスチナ

ヨルダン川西岸で聖地がある

(*) ブルネイ、フィリッピン、マレーシア

 

2.領土問題を解決した主な事例

 

①中国とロシアの国境線紛争で、1969年には武力衝突もしたが、2005年折半で平和的に解決した。

 

②インド、中国。インド、パキスタンの長年の国境線紛争を2015年、話し合いで平和的に解決した。

 

③シンガポールとインドネシア国境紛争を、2016年、話し合いで解決した。

 

④軍事衝突を繰り返してきたナイジェリアとカメルーンの国境紛争は、2015年、国際司法裁判所の裁定を受け入れて平和解決した。国連事務総長が称賛の声明を出した。(他に10数件解決済み)

 

3.領土問題解決のケースとコスト

 前項の解決事例を参考に、解決のケースとコストの関係は下記になると思う。

 

領土解決の

ケース

 

コスト

話し合い解決

国際司法裁判所提訴

戦争

折半

資源の共同開発

棚上げ

                               

       小

  大

極大

           

 

4.領土問題解決のまとめ(筆者コメント)

 

①領土問題は早い者勝ちの要素があって、帰属先の証明は難しい。国民感情が絡むとさらに解決は困難だが、戦争になってはいけない。

 

1972年の日中国交正常化交渉の際、尖閣棚上げ論があったかどうか議論がある。外務省は否定しているが、周恩来や鄧小平が唱えたとされる棚上げ論は正しいと思う。

 

③地域多国間協力の仕組みである、東アジア共同体の創設に努力しよう。地域の平和の価値に比べれば、目先のちっぽけな領土問題など、雲散霧消し、容易に解決するに違いない。

 

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アジアの平和 ➉核抑止力神話は本当か [平和外交]

 新冷戦の脅威を踏まえつつ、アジアひいては世界に平和をもたらすために、日本は何をしたらよいか。前回、平和の大敵である領土問題について考えてみた。今回は、核兵器を保有すれば、他の保有国からの核攻撃を本当に防げるのか。そもそも、核兵器は使い物になるのか検討してみよう。

 

1.核抑止力有用論

 核兵器は相互に防御不能であり、安易に戦争をできなくしたという意味で、戦争を抑止する力があるという考え方である。本当だろうか。テロ集団への移転や、不慮の事故対応、更新・廃棄費用などを考えると、大変な金食い虫と思う。核廃絶の努力のあとをたどってみよう。

 

2.核兵器先制不使用宣言と日本の対応

 オバマ元米大統領は在任中、「核なき世界」の理念を掲げ、核兵器先制不使用の宣言を検討してたが、「核抑止力を損ない、同盟国を動揺させ、中ロを利する」とする反対意見によって断念した経緯がある。

 日本はすぐに、抑止力を損なうとして反対したが、先制不使用が核軍縮、核廃絶という人類の希望につながるものであっただけに、多くの非核保有国の希望を踏みにじる対応であった。

 

3.核兵器禁止条約と日本の対応

 2017年、核兵器禁止条約が国連総会において、122か国の賛成で採択された。「核兵器のない世界」に向けて大きな一歩である。

 日本は「現在の安全保障環境を考えれば、条約の交渉開始は時期尚早」と主張し、反対した。世界唯一の被爆国として誠に残念である。

日本はアメリカの核の傘に入って、その抑止力に頼っているが、核の抑止力は本当に必要であり、効果があるのだろうか。核の抑止力に頼らない、安心供与の平和外交を進めてほしい。

 

4.核抑止力有用論の克服(筆者提案)

 

核先制不使用に賛成する核保有国を増やす運動をしよう。核軍縮、核廃絶への近道である。中国は賛成している。また、機能不全に陥っている国連の活性化策を考えよう。

 

非核兵器地帯条約の締約国は現在、6地域、116か国である。非核兵器地帯の面積を増加する国際的な運動を展開しよう。

 

核兵器禁止条約に日本は棄権したが、核拡大抑止は幻想である。世界唯一の被爆国として、核兵器の非人道性を最も知る国として、条約を率先推進しよう。

 

核廃絶の取り組みに消極的な保有国に対し、不買運動含む市民運動を展開しよう。

 

コラム 核兵器を持つ目的の目的を考えてみよう。

 

下の目的展開表で、「先制攻撃する」 がキーワードである。これを禁止にできれば、核兵器保有の意味はなくなり、核廃絶につながってゆくと思う。

 

       核兵器保有    

         ↓

    核兵器を保有し、破壊力を誇示する

      ↓侵略の場合    ↓自衛の場合

    先制攻撃する   攻撃に対し反撃する

      ↓         ↓

    優位に立つ    侵略を防ぐ

      ↓         ↓

    相手を負かす   損害を防ぐ

      ↓         ↓

    相手を支配する  平和を守る

      ↓         ↓

     利益を得る   平和を保つ


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